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2025.12.09 秒単位での応答を実現——国軒高科、日本の一次調整市場への参入に成功 

国軒高科(以下、国軒)はこのほど、株式会社エジソンパワー(以下、エジソンパワー)と共同開発した「佐倉蓄電所」が、日本の一次調整市場に必要な総合試験に無事合格したと発表しました。試験では、電力系統の需給に対し秒単位で応答し、出力を迅速かつ精緻に調整できることが確認されました。これにより国軒は、同市場に参入した初の中国系蓄電システムメーカーとなりました。
今回の成果は、中国製蓄電システムが日本の最重要電力補助サービス市場で本格的に採用されたことを示すものであり、日本の電力システム運用の柔軟性向上と安定化に新たな価値をもたらします。

*稼働中の佐倉蓄電所

2024年11月に系統連系を完了した佐倉蓄電所は、規模が2MW/7MWhで、交流・直流一体型のインテグレーション構造を採用。遠隔デジタル監視システムと高速通信技術により、高い即応性と信頼性を確保しています。
同蓄電所は従来、JEPXにおけるピーク・バレー価値を利用した「電力価格裁定(アービトラージ)」を中心に運用してきましたが、新たに電力補助サービス分野へ参入。2025年9月より、需要調整市場(EPRX)の一次調整市場に正式参加する予定です。

■ 日本における蓄電所の主な収益源
日本の蓄電所ビジネスは、主に以下の3つの市場を柱としています。
1. JEPX電力卸市場
低価格帯で充電し、高価格帯で放電する電力裁定取引。
2. 需要調整市場(とくに一次調整)
秒単位で周波数を調整し、提供した「待機能力(スタンバイキャパシティ)」に対して容量収入を得る市場。反応速度10秒以内の電源のみ参加可能。
3. 容量市場(OCCTO)
長期的に安定した予備力を提供することで固定収入を得る市場。
これら複数の収益源を組み合わせることで、蓄電所の投資回収率を大幅に引き上げることが可能となります。

■ 一次調整市場の重要性と佐倉蓄電所の性能
一次調整市場は、日本の電力需給制御の中で最も高速な応答が求められる分野で、電力量ではなく待機能力への対価として報酬が支払われる点が特徴です。JEPXでの電力裁定を補完する市場として、年間数千万円規模の追加収益が期待でき、蓄電所の事業安定性を大きく向上させます。
佐倉蓄電所は、ミリ秒単位の応答能力と高精度な調整性能を示し、高性能蓄電システムが一次調整サービスにおいて果たす役割の大きさを実証しました。これは、蓄電事業の用途を「ピークシフト」から「電力系統安定化」へと広げるものであり、今後の事業モデルの高度化に向けた重要な基盤となります。

■ 日本市場での事業展開
国軒は2023年3月にエジソンパワーと戦略的協業を開始し、日本における蓄電事業開発を推進してきました。佐倉蓄電所はその第一号案件であり、東京電力管内におけるモデルケースとして位置付けられています。
さらに、中部電力エリアの「菊川蓄電所」も一次調整市場向け試験に合格し、国軒にとって同地域初の一次調整対応プロジェクトとなりました。本プロジェクトは、阪和興業株式会社およびエジソンパワーとの三社共同開発によるもので、JEPX裁定と一次調整の両方を備えた高収益モデルとして、今後は関西・九州・北海道など各地域へ展開を広げていく予定です。

■ 国軒の今後の展望
国軒が日本の一次調整市場に参入できた背景には、同社の高い調頻性能とシステムインテグレーション能力があります。火力発電縮小と再生可能エネルギー比率の上昇が進む日本において、これらは電力系統の安定化を支える重要なソリューションとなります。
今後も国軒は、今回得られた技術的・商業的成果を他プロジェクトへ横展開し、パートナー企業と連携しながら、日本の高付加価値蓄電市場への展開を加速してまいります。